Activity of Daily Living (ADL)

Activities of Daily Living (ADL)とは

昭和51年に日本リハビリテーション医学会評価基準委員会では以下のように説明されています [1]。

ADLとは、ひとりの人間が独立して生活するために行う基本的なしかも各人ともに共通に毎日繰返される一連の身体的動作群をいう。この動作群は、食事、排泄等の目的をもった各作業(目的動作)に分類され、各作業はさらにその目的を実施するための細目動作に分類される。リハビリテーションの過程や、ゴール決定にあたって、これらの動作は健常者と量的、質的に比較され、記録される。

[1] 今田拓: ADL評価について. リハビリテーション医学 13(4): 1976, 315

基本的日常生活活動と手段的日常生活活動

基本的日常生活活動(Basic ADL)とは移動、階段昇降、入浴、トイレの使用、食事、着衣、排泄などの基本的な日常生活活動を示します。手段的日常生活活動(Instrumental ADL)とは高次のADLで買い物、食事の準備、服薬管理、金銭管理、交通機関を使っての外出など、より複雑で多くの労作が求められる活動を意味します [1][2]。

 

<表 基本的日常生活活動と手段的日常生活活動の例>

 

[1] 一般社団法人日本老年医学会 – ADLの評価法

[2] 厚生労働省 – 健康日本21(総論) – 総論参考資料

できるADL、しているADL、するADL

国際生活機能分類のページでも説明しましたが、活動や参加は実行状況(Performance)と能力(Capacity)の両方を区別して考えることが重要です [1] 。このことは日常生活活動において同じことで、実行状況としての「しているADL」、能力としての「できるADL」を区別して考える必要があります。「しているADL」は毎日の実生活でのADLであり、自宅生活だけでなく、入院しているのであれば病棟や居室での生活を含みます。これに対し、「できるADL」は、理学療法の場面などで発揮できるADLであり、ご本人ががんばればできるという状況に加え、周囲からの助言や見守りがあればできるという状況も含みます。

「できるADL」だけでなく「しているADL」の状況も注目する必要がありますし、理学療法などの場面で「できるADL」の内容が実生活でも「しているADL」になるよう取り組む必要があります。

上田は、「できるADL」と「しているADL」に加え、目標指向的な視点から「(将来)する(ようになる)ADL」を目標として定めることが重要と指摘しています [2] 。

 

「できるADL」、「しているADL」、「するADL」の関係は以下のように図示できます。

 

<図 できるADL、しているADL、するADLの関係>

 

身体機能の重度な障害がある場合、理学療法の場面で行うことが「できるADL」と実生活で実際に「しているADL」に差が生じることがあります【図の(1)】。例えば、理学療法の場面では見守りだけで起き上がることができていても、実生活では介助が必要なこともあります。このような差が生じる要因として、理学療法士が無意識に行う声かけや目線による動きの誘導などにより、練習では動作しやすくなることが考えられます。また、他の要因として、実生活では起き上がってトイレに行くというように起き上がって次に何かを行う目的があるため、起き上がる動作そのものに対し集中しにくいこともあります。他にも、実生活で起き上がる環境は布団ややわらかいマットレスがあるなど理学療法室とは環境が異なることも実生活で起き上がりにくい要因になることもあります。理学療法では、このような「できるADL」と「しているADL」の差を小さくすることが大切になります。

つまり、ある時点での「できるADL」を、将来には実生活でも「しているADL」になるように取り組むことが大切になります【図の(2)】。一方で、「できるADL」をどんどん増やすこと【図の(3)】も重要です。「できるADL」と「しているADL」の差は縮めるべきものですが、裏を返せば、差があるということは、「しているADL」の伸びしろがあるとも言えるのです。

このように、将来を見すえた関わりをするためには、将来を予測し、計画を立てることが不可欠です。つまり、ある時点での「しているADL」や「できるADL」から、将来「するADL」を予測すること【図の(4)】が重要です。

[1] 厚生労働省 – 社会保障審議会 (統計分科会生活機能分類専門委員会) –  ICF(国際生活機能分類) -「生きることの全体像」についての「共通言語」-

[2] 上田敏: 日常生活動作を再考する: 「できるADL」, 「しているADL」から「するADL」へ: 第29回 日本リハビリテーション医学会 学術集会. リハビリテーション医学 30(8): 1993, 539-549

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