診療ガイドラインの活用

診療ガイドラインとは

公益財団法人日本医療機能評価機構が発行した「Minds 診療ガイドライン作成マニュアル」[1] によると、診療ガイドラインとは

診療上の重要度の高い医療行為について、エビデンスのシステマティックレビューとその総体評価、益と害のバランスなどを考慮して、患者と医療者の意思決定を支援するために最適と考えられる推奨を提示する文書。

と定義されています。また、公益社団法人日本理学療法士学会のEBPT用語集 [2] では、

医療者と患者が適切な臨床判断ができるよう支援することを目的として,体系的な方法に則って作成された総説論文のことをいいます.具体的には,同じく総説論文であるシステマティックレビューとは異なり,ガイドラインでは,一つの限定された問題を取り上げるのではなく,現実的にとり得る医療の選択肢を網羅的に取り上げています.システマティックレビューは,エビデンス主導であり,エビデンス自体を提示するのに対し,ガイドラインではエビデンスの提示だけでなく,エビデンスをどのように臨床に適用するかについても言及します.また,ガイドラインの作成には関わる人の範囲が広いことも特徴です.検討対象となる疾患についての専門家だけでなく,臨床疫学者,生物統計学者,患者などが関与しています.作成の基本原則としては,「根拠に基づいた医療(evidence based medicine)」の手順に則って作成することが示されています.

と説明されています。どちらの文章にもエビデンスとシステマティックレビューという用語が出てきますね。

エビデンス:根拠、証拠

システマティックレビュー:質の高い複数の臨床研究を、複数の専門家や研究者が作成者となって、一定の基準と一定の方法に基づいてとりまとめた総説(ごく簡単に表現すれば、研究論文のまとめのまとめ的なもの)

診療ガイドラインを活用する目的

診療ガイドラインを何のために活用するのかというと、患者と医療者の意思決定を支援するため(公益財団法人日本医療機能評価機構)であったり、医療者と患者が適切な臨床判断ができるように支援するため(公益社団法人日本理学療法士学会)であったりします。医療の現場は、どれを選ぶか、するかしないかなど、意思決定の連続であり、もちろん、理学療法の現場も同様です。膨大な医療の情報と患者さんの状況を照らし合わせ、医療者と患者さんが一緒になって意思決定する必要があり、診療ガイドラインはこのプロセスを支援するものなのです。

[1]  小島原典子, 他 (編): Minds 診療ガイドラン作成マニュアル. 公益財団法人日本医療機能評価機構, 2014, pp4

[2] 日本理学療法士学会EBPT用語集

理学療法の診療ガイドライン

日本理学療法士学会が作成した理学療法ガイドライン第1版が公開され [1] 、2021年に第2版が公開されました [2] 。

外国のウェブサイトですが、理学療法に特化したガイドラインのデータベースPEDro [3] が有名です [3] 。

[1] 日本理学療法士学会 – 理学療法ガイドライン第1版

[2] 日本理学療法士学会 – 理学療法ガイドライン第2版

[3] PEDro

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