Sponsored Links
Sponsored Links
アメリカで広がった自立生活運動; IL(Independent Living)運動
1960年代のアメリカでは、黒人の公民権運動が盛んに行われていた時期であり [1]、この運動に呼応するように、障害者もマイノリティの一部として同じ公民権法の適用を望んでいたそうです [2]。IL運動のきっかけは以下のようなことだったそうです [2]。
[1] 高等学校 世界史のしおり 2013年度 3学期号 – 川手圭一: 人権問題を考える−公民権運動を事例として−. 世界史のしおり 2013年度3学期号: 2013 [2] 厚生労働省 – 障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会(第2回) – 障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会(第2回) 意見陳述 – 自立生活の基本理念とその歴史1972年、カリフォルニア大学バークレー校を呼吸器付きの車椅子に乗ったポリオの障害者Ed Robertsが卒業しようとしていた。キャンパス内で得られた介助や住宅、車椅子修理、ピア・カウンセリングなどのサービスが使えなくなることから、同じ障害をもつ仲間と話し合い、家族や友人の協力も得て、地域の中に自立生活センター(以下、ILセンターと略す)をつくることになった。これが自立生活運動の創始である。
自立生活運動の思想
アメリカで始まった自立生活運動の思想は主に以下の4つとされています [1]。この中で、個人的に(3)は現在でも重要に感じます。障害を持つ人は支援を受けることも多いですが、その支援は障害を持つ人自身が管理すべきものという意味です。ややもすると、押し付けの支援になったり支援が欲しいところに支援が行き届かなかったりすることは現在でもあるように思います。
[1] 厚生労働省 – 障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会(第2回) – 障害者(児)の地域生活支援の在り方に関する検討会(第2回) 意見陳述 – 自立生活の基本理念とその歴史(1) 障害者は「施設収容」ではなく「地域」で生活すべきである。
(2) 障害者は、治療を受けるべき患者でもないし、保護される子供でも、崇拝されるべき神でもない。
(3) 障害者は援助を管理すべき立場にある。
(4) 障害者は、「障害」そのものよりも社会の「偏見」の犠牲者になっている。
障害を持つ人の自己決定
重度の障害がある場合、例えば食事を食べさせてもらったり車いすを押してもらったりすることがあります。このような際、上述のように障害を持つ人自らが援助(介護)を管理できる状況が望ましいとされます。しかし、このような本来自分の手足で行うようなことの介護を受ける場合、介護を管理して障害を持つ人自らが自己決定できる状況を作り出そうとしても、どうしても介護をする人の自己を排除することはできません。ですので、ここでいう「管理」とはなかなか奥が深いものだと思います。自分の思い通りに自己決定できるということと、介護する人の自己との関わりを保つということの2つの視点を行ったり来たりして折り合いをつけることが、重要なのかもしれません。
[1] 星加 良司: 自立と自己決定. ソシオロゴス 25: 2001, 160-175Sponsored Links