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プロフェッションとは
Cruessらは、プロフェッションについて
複雑な知識体系への精通、および熟練した技能の上に成り立つ労働を核とする職業であり、(中略)構成員は、自らの力量、誠実さ、道徳、利他的奉仕、および自らの関与する分野における公益増進に対して全力で貢献する意志(commitment)を公約(profess)する。この意志とその実践は、プ ロフェッションと社会の間の社会契約(social contract)の基礎となり、その見返りにプロフェッションに対して実務における自律性(autonomy)と自己規制(self-regulation)の特権が与えられる。
と定義しています [1]。この定義は図ように示すことができます。
<図 プロフェッションと社会との契約>(文献[2]より引用)
山本ら [3] によると、プロフェッション、すなわち専門職とは、
- 公衆への社会的サービスを提供する。
- 専門的技術を有する。
- 専門職の組織化が図られている。さらに、組織化により、専門職集団を規準とした専門職としての考えや判断が明文化されている。
- 倫理綱領を有する。
- 自律性が認められる
と定義されています。
[1] 大生定義: プロフェッショナリズム総論. 京府医大誌 120(6): 2011, 395-402 [2] 野村英樹: プロフェッションによる教育と自律のあり方. 日本内科学会雑誌 99(5): 2010, 1116-1121 [3] 山本武志, 他: 医療プロフェッショナリズムの概念の検討. 北海道大学大学院教育学研究院紀要 126: 2016, 1-18プロフェッショナリズム
プロフェッショナリズムとは、上述したプロフェッションとしての立ち振る舞い方やものの考え方を意味するものです。日本医学教育学会倫理・プロフェッショナリズム委員会 [1] によるとプロフェッショナリズム教育の目的は、「医療や医師に対する社会からの信頼度を高め、この信頼を基盤として国民全体でより良い医療を創っていくことにある」と記されています。
以下の表ははプロフェッショナリズム の要素が端的にまとめられています。
<表 専門職を特徴付ける態度>(文献[2]より引用)[3]
公益性 | (1) 仕事を単なる金儲けの手段とみなさない (2) 個人的な出世より、仕事の質に大きな関心を抱く (3) 仕事を、社会に対して有益な貢献をなすものと見なす |
道徳性 | (4) 仕事に関する道徳的な責務を重視する (5) 一連の専門職的な美徳を陶冶(とうや)しようとする |
専門性 | (6) 専門的な能力を重視する
(7) 仕事をより良いものにする為の方法を常に模索する |
理学療法教育のコンピテンシー
コンピテンシー(コンピテンス)を一言で表すと学習の成果です。
松尾 [1] は、コンピテンシーとは、「単なる知識や技能だけでなく、技能や態度を含む様々な心理的・社会的なリソースを活用して、特定の文脈のなかで複雑な要求(課題)に対応できる能力」と定義しており、何かを知っているという単なる知識ではなく、知識を活用して何ができるかを重視する教育へのパラダイム・シフトが求められていると述べています。
理学療法士が専門職としてのプロフェッショナリズムを高めるためには、理学療法教育におけるコンピテンシーを明確にする必要があるように思います。医学教育においては、明確なコア・コンピテンシーが示されており [2]、看護教育でも取り組みが進んでいます [3]。理学療法教育においてもこのような取り組みが求められます。
[1] 松尾知明: 21世紀に求められるコンピテンシーと国内外の教育課程改革. 国立教育政策研究所紀要 146: 2017, 9-22 [2] 一般社団法人 全国医学部長病院長会議 – 指針・ガイドライン等 – 医学教育モデル・コア・コンピテンシー(初版) [3] 一般社団法人日本看護系大学協議会 – 「看護学士課程教育におけるコアコンピテンシーと卒業時到達目標」報告書Sponsored Links