リハビリテーションについて

語源

リハビリテーション(Rehabilitation)の語源はラテン語といわれており、
”re-”は「再び」を表す接頭語、
”habilis”は「(人間として)ふさわしい、望ましい」という意味、
”ation”は「〜すること」という接尾語
から構成されています。リハビリテーションという言葉は、中世ヨーロッパでは、王侯貴族の「身分や地位に回復」、「破門の取り消し」という宗教的な意味で使われていました [1]。現在でも、英語の”rehabilitation”には、(犯罪者の)更生や名誉の回復などの意味があります [2]。

[1] 医学書院理学療法学事典

[2] 南出康世(編):ジーニアス英和辞典 第5版.大修館書店,2014

リハビリテーションの定義

リハビリテーション医学大辞典

リハビリテーション医学大辞典では [1] リハビリテーションについて、「単なる失った機能の回復が問題なのではなく、障害者の”人間らしく生きる権利の回復(全人間的復権)”こそがリハビリテーションである」と前置きした上で、「障害を持った者を最適な身体的、精神的、社会的、職業的、経済的な能力を発揮できる状態にし、可能な限り高いQOL(人生の質)を実現することである」と定義されている。

[1] 上田敏、大川弥生(編):リハビリテーション医学大辞典.医歯薬出版,1996

リハビリテーションの4領域

昭和56年の厚生白書では以下のような領域があると記されています [1]。

リハビリテーションは通常、身体又は精神の機能回復に着目した医学的リハビリテーション、職業訓練等による就業復帰に着目した職業的リハビリテーション、障害者が社会の一員として十全に活動することを目指す社会的リハビリテーション等の分野がある。

興生白書(昭和56年版)

つまり、

  • 医学的リハビリテーション:身体又は精神の機能回復に着目した
  • 職業的リハビリテーション:職業訓練等による就業復帰に着目
  • 社会的リハビリテーション:障害者が社会の一員として十全に活動することを目指す

という3つの領域です。これに「教育的リハビリテーション」を加えて、ハビリテーションの4領域と定義されることが多いです。

ちなみに、教育的リハビリテーションについては、平成22年の障害者総合福祉推進事業の報告書 [2] において、次のように説明されています。

教育リハビリテーションは障害のある児童や人の能力を向上させ潜在能力を開発し、自己実現を図れるように支援することを目的にしている。
(中略)(教育的リハビリテーションに似た用語として)障害児教育、特殊教育、特別支援教育などの用語があるが、こ れらの用語と「教育リハビリテーション」の違いは、教育リハビリテーションは、 学齢前教育、学齢期教育、大学・大学院などの高等教育、社会人を対象とする社会教育や生涯教育なども含む、ライフサイクルを包含する幅広い教育活動である。

障害者総合福祉推進事業の報告書(平成22年)
[1] 厚生労働省 – 厚生白書(昭和56年版)総論: 序章 国際障害者年に当たって: 第3節 障害者福祉の理念: 2 リハビリテーションの理念

[2] 厚生労働省 – 平成22年度障害者総合福祉推進事業 成果物一覧 – 知的障害者・精神障害者等の地域生活を目指した日常生活のスキルアップのための支援の標準化に関す調査と支援モデル事例集作成事業

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理学療法の位置付け | KOTA's Lab.

[…] 理学療法は、理学療法の法的定義で説明したように、手段としての治療法です。これに対して、リハビリテーションは、リハビリテーションについてで説明したように、全人間的復権という目的としての概念です。ですから、これら2つの言葉の意味や用途は明確に異なります<表 理学療法とリハビリテーション>。 […]

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