診療録=カルテの記録

カルテ記録の必要性

医師法 第四章 業務 第二四条第一項

医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。

医科診療報酬点数表

各区分におけるリハビリテーションの実施に当たっては、全ての患者の機能訓練の内容の要点及び実施時刻(開始時刻と終了時刻)の記録を診療録等へ記載すること。

医科診療報酬点数表 第7部リハビリテーション

3か月に1回以上(特段の定めのある場合を除く。)患者に対して当該リハビリテーション実施計画の内容を説明し、診療録にその要点を記載すること。

医科診療報酬点数表 第7部リハビリテーション

リハビリテーション実施計画書の様式はこちら(PDF)を参照ください。さらに詳細なリハビリテーション総合実施計画書という様式もあります(PDF)。

機能訓練の内容の要点の記載方法

POS(Problem Oriented System)、POMR(Problem Oriented Medical Record)

POSとは日本語で「問題志向型システム」、POMRとは日本語で「問題志向型診療記録」といいます。

POSは以下の5要素から構成されます。

  1. 基礎情報
  2. 問題リスト
  3. 初期計画
  4. 経過記録
  5. 要約リスト

上で紹介したリハビリテーション実施計画書は、3ヶ月に1回以上の頻度で定期的に記録するものであり、POSの5要素のうち、4以外が含まれていると言っていいでしょう。

経過記録はSOAPという構造化した方法で、記録します。

S:主観的データ
患者の立場からの問題点、患者がどう感じ、どのように訴えているかについてを記載
O:客観的データ
診察所見・検査データ
A:医師等の意見・診断・データの解釈・予後の見通し
得られた情報を根拠に、どのような診断や治療が考えられるかを論理的に記載する。複数の医師での検討が行われた場合は、対立 する意見やそれぞれの意見について記載し、その検討でどのよう な結論に至ったかについて論理的に記載する。
P:診断計画・治療・患者への教育

SOAPの例
S) 「今日のリハビリは疲れた」、「痛いところはない」
O) 今日から歩行練習を10m×5回から20m×5回に増量した。歩行練習後のバイタルは、脈拍86回/分、血圧146/86mmHg。
A) 脈拍と血圧は、増量前より10程度高い。1〜3回は、増量前と比較して著変なかったが、5回目は、歩行スピードが減少、麻痺側上肢の共同運動が増悪、歩行時の体幹前傾姿勢が目立つようになったことから、筋持久力、有酸素性能力の不足が原因と考えられる。
P) 明日から1週間程度、歩行の練習量を20m×3回で実施する。その後、問題なければ歩行距離を増やす予定。

フォーカス・チャーティング

SOAPが患者さんの「問題」に着目するのに対し、フォーカス・チャーティングは患者さんに生じた「出来事」に着目する特徴があります。

F:Focus
明らかにされた利用者の関心事
D:Data
フォー カスを支持・証明する主観的および客観的情報
A:Action
状況に対して、職員が実際に行った行為・ケア・処置
R:Response
職員のアクションに対する利用者の反応

[1] 東京都衛生局病院事業部: 都立病院における 診療録等記載マニュアル, 2001

[2] 米田啓子: フォーカスチャーティングで 簡潔明瞭な記録内容に. コミュニティケア 19(12): 2017, 56-58

退院(終了)時要約(サマリー)

患者が退院・転院したり、在宅で理学療法を行っている利用者が入院したりする際に、情報をまとめて伝達します。

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