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国連はその創設期から障害を持つ人々の地位を向上させ、彼らの生活を改善することに努めています [1] [2] 。
世界人権宣言(1948年)
世界人権宣言の第1条には以下のように記されており、この精神がのちに国連が障害に関して取り組む羅針盤になったものと思われます。
すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。 [3]世界人権宣言テキスト
障害者の権利に関する宣言(1975年)
1971年に総会で決議された精神遅滞者の権利に関する宣言 [4] を発展させた内容になっています。この宣言は以下の2つの点において意義あるとされています [5]。
- 障害者の権利の重要性について世界的関心を焦点づける役割を果たす。
- 国連は世界の諸地域において、障害者を教育し、リハビリテーションをおこなうことに助力し、雇用を提供するのに必要な技術的援助を提供しうるし、提供すべきであることが明確になる。
国際障害分類の発行(1980年)
こちらのページを参照ください。⇒国際障害分類と国際生活機能分類
国際障害者年(1981年)
障害者に関する世界行動計画が国連総会で採択される原動力となりました。国際障害者年のテーマは完全参加と平等で、主要目的に次の5つが挙げられました [6] 。
- 障害者が身体的にも精神的にも社会的にも適応することができるように援助すること
- 適切な援助、訓練、医療及び指導を行うことにより、障害者が適切な仕事につき、社会生活に十分に参加できるようにすること
- 障害者が社会生活に実際に参加できるよう、公共建築物や交通機関を利用しやすくすることなどについての調査研究プロジェクトを推進すること
- 障害者が経済的、社会的及び政治的活動に参加する権利を有していることについて一般国民の理解を深めること
- 障害の発生予防対策及びリハビリテーション対策を推進すること
国連障害者の10年(1983年〜1992年)
国際障害者年で挙げられた5つの目的を達成するための行動が各国で取られ、我が国でも法的整備や種々の取り組みが行われました [7] 。
国際生活機能分類を採択(2001年)
こちらのページを参照ください。⇒国際障害分類と国際生活機能分類
障害者の権利に関する条約(2006年)
上述のように、国連ではいくつもの宣言・決議を採択してきましたが、これらの宣言・決議は法的拘束力を持つものではありませんでした。2006年に採択された障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)[8] は、障害者の人権や基本的自由の享有を確保し、以下のような権利を実現するための措置などが規定された国家間の合意です [9] 。
- 市民的・政治的権利
- 教育・保健・労働・雇用の権利
- 社会保障
- 余暇活動へのアクセス
など
日本は2011年に「障害者基本法」が改正され、2012年に「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援する法律」が成立、さらに2013年に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(通称:障害者差別解消法)」が成立するなど、障害者の権利に関する条約を締結するための法的整備が整い、2013年に障害者の権利に関する条約に批准しました [9] 。
[1] 国際連合広報センター – 障害を持つ人々 [2] 外務省 – 障害者を巡る国際的な動き [3] 国際連合広報センター – 世界人権宣言テキスト [4] University of Minnesota Human Rights Library – 精神薄弱者の権利宣言 [5] 障害保健福祉研究情報システム – II 障害者の権利に関する宣言 [6] 国際連合広報センター – 国際障害者年 [7] 厚生労働省 – 厚生白書(平成4年版) – 第1章 「国連・障害者の十年」を振り返って [8] 外務省 – 障害者の権利に関する条約(略称:障害者権利条約) [9] 内閣府 – 障害者施策 – 障害者権利条約Sponsored Links